tag:blogger.com,1999:blog-7886288471266165362024-03-13T23:15:31.511+09:00Kuro-san: Blog黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.comBlogger67125tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-58152667561370831512013-02-13T21:01:00.000+09:002013-02-13T21:22:48.330+09:00共存学フォーラム「震災復興と文化・自然・人のつながり」のお知らせ次の日曜日ですが、下記のようなフォーラムを國學院大學で開催します。<br />
<br />
共存学フォーラム「震災復興と文化・自然・人のつながり〜岩手三陸・大槌の取り組みから〜」<br />
日時 平成25年2月17日(日)10:00〜17:45<br />
会場 國學院大學渋谷キャンパスAMC棟1階 常磐松ホール<br />
詳細な情報と参加申し込みは下記URLをご参照ください。<br />
<a href="http://www.kokugakuin.ac.jp/event/101224_ken06_suishin_kyoson250217.html">http://www.kokugakuin.ac.jp/event/101224_ken06_suishin_kyoson250217.html</a><br />
<br />
この企画は、國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センターの「地域・渋谷から発信する共存社会の構築」研究事業の「共存学」グループによるもので、東日本大震災の被災・復興の現場で文化や自然、人びとのつながり(地域コミュニティから地域を超えたネットワークまで)がもっている力に目を向け、その認識を広く共有していくことで復興への一助になりたいという趣旨で立ち上げたものです。さまざまな立場から復興支援の現場に関わっていらっしゃる方々をパネリスト、コメンテーターにお招きしています。<br />
<br />
なぜ大槌なのか…。一昨年(2011年)の9月、共存学グループのメンバーは、研究開発推進センターの共同研究員であり、岩手県一関市の御嶽山御嶽神明社禰宜の佐藤一伯さんを訪ね、佐藤さんも関わっているいちのせき市民活動センターの沿岸部(陸前高田市)への支援活動についてお話をうかがいました。<br />
<br />
その一方で、佐藤さんは大槌町安渡地区に鎮座する大槌稲荷神社の十王舘勲禰宜と交流をもち、「おんたけさん友だちネット」を立ち上げて復興支援活動を展開するようになりました。そこで昨年(2012年)11月に共存学グループは大槌稲荷神社を訪ね、十王舘勲禰宜さんに避難所となった神社のことを詳しくうかがうとともに、大槌町の現状や、他のさまざまな復興支援活動についてもお話をうかがえる方々を訪ねあるきました。<br />
<br />
たとえばそのなかのお一人、サンガ岩手の吉田律子さんは、2011年6月の宗教者災害支援連絡会の情報交換会や、2012年2月の国際宗教研究所との共同開催シンポジウムでお話をうかがったことがありましたが、今は大槌町に「手づくり工房カフェ」を開いて人びとの手仕事の場を提供しつつ、傾聴活動を継続していることを知りました。また、町方地区に鎮座する小鎚神社(2011年5月はじめに一度訪ねていました。2012年11月にも再訪)の向かい側にある「復興食堂」と「大槌復興館」は一般社団法人おらが大槌夢広場という団体が運営していますが、その団体が発行する『大槌新聞』の唯一のスタッフ、高田由貴子さんに、なぜ地元発の新聞を立ち上げることになったのかをうかがうことができました。<br />
<br />
こうした知見とつながりを、フォーラムという機会を設けさせていただくことで広げていき、何らかのかたちで少しでも震災復興に寄与できればという願いを抱いております。関心のおありの方、ぜひご参加いただきますよう、お願い申し上げます。<br />
<br />
以下、関連情報です。<br />
<br />
大槌稲荷神社 <a href="https://sites.google.com/site/otsuchiinari/">https://sites.google.com/site/otsuchiinari/</a><br />
おんたけさん友だちネット <a href="http://www.ontakesan.jp/tomodachi/">http://www.ontakesan.jp/tomodachi/</a><br />
いちのせき市民活動センター <a href="http://www.center-i.org/">http://www.center-i.org/</a><br />
サンガ岩手 <a href="http://www.sangaiwate.org/">http://www.sangaiwate.org/</a><br />
おらが大槌夢広場 <a href="http://www.oraga-otsuchi.jp/">http://www.oraga-otsuchi.jp/</a><br />
大槌新聞 <a href="http://flat.kahoku.co.jp/sub/volunteer/kawara.htm#18">http://flat.kahoku.co.jp/sub/volunteer/kawara.htm#18</a><br />
(今回フォーラムでのご登壇はありませんが、会場前ロビーでパネル展示があります)<br />
<br />
Facebookアルバム 大槌稲荷神社祭典御神輿渡御(平成24年9月22日)<br />
<a href="https://www.facebook.com/media/set/?set=a.3244602292282.108616.1783634394&type=1&l=930063e747">https://www.facebook.com/media/set/?set=a.3244602292282.108616.1783634394&type=1&l=930063e747</a><br />
Facebookアルバム 小鎚神社祭典神輿渡御(平成24年9月23日)<br />
<a href="https://www.facebook.com/media/set/?set=a.3247651968522.108756.1783634394&type=1&l=771f7cdedb">https://www.facebook.com/media/set/?set=a.3247651968522.108756.1783634394&type=1&l=771f7cdedb</a><br />
<br />
「東日本大震災の津波被災地における宗教者の支援活動にみる「共存」に関わる調査報告」<br />
<a href="https://docs.google.com/file/d/0B-NX2hV_Yqq6UDdTQm5ydm9fZW8/edit?usp=sharing">https://docs.google.com/file/d/0B-NX2hV_Yqq6UDdTQm5ydm9fZW8/edit?usp=sharing</a><br />
(2012年11月1〜3日、共存学グループによる小鎚神社、大槌稲荷神社、サンガ岩手・吉田律子氏への訪問インタビュー報告書)<br />
<br />
<br />黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-38403869167637481492013-01-07T22:33:00.000+09:002013-02-13T21:01:43.692+09:00ブログ再開/出版物、シンポジウムのご案内しばらく更新をさぼっていたブログを再開します。<br />
<br />
いきなり宣伝で恐縮ですが、出版物とシンポジウムのご案内をいたします。<br />
<h3>
『叢書 宗教とソーシャル・キャピタル』全4巻の刊行開始</h3>
<div>
<a href="http://www.akashi.co.jp/search/s4388.html">櫻井義秀・稲場圭信責任編集『叢書 宗教とソーシャル・キャピタル』全4巻(明石書店)</a>の刊行がはじまりました。昨年12月に、下記の2巻が出ています。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<ul>
<li>第1巻『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル』(櫻井義秀・濱田陽編著)</li>
<li>第2巻『地域社会をつくる宗教』(大谷栄一・藤本頼生編著)</li>
</ul>
<div>
すでに書店に並んでいるようです。ぜひ手にとってみて、もし関心がわきましたらお買い求めください。</div>
<div>
<br /></div>
これから、下記の2巻が刊行される予定です。</div>
<div>
<ul>
<li>第3巻『宗教が織りなすケア』(葛西賢太・板井正斉編著)</li>
<li>第4巻『震災復興と宗教』(稲場圭信・黒崎浩行編著)</li>
</ul>
私は、第2巻『地域社会をつくる宗教』の第9章「宗教のインターネット活用が築くソーシャル・キャピタル」執筆と、第4巻『震災復興と宗教』の編集、執筆を担当しています。</div>
<h3>
シンポジウム「3.11以後の日本社会と宗教の役割」開催</h3>
<div>
<a href="http://www.iisr.jp/">財団法人国際宗教研究所</a>と<a href="https://sites.google.com/site/syuenrenindex/">宗教者災害支援連絡会</a>の共同主催公開シンポジウム「3.11以後の日本社会と宗教の役割」が、2013年2月9日(土)に大正大学(東京都豊島区)で開催されます。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<div>
(財)国際宗教研究所・宗教者災害支援連絡会共同主催公開シンポジウム「3.11以後の日本社会と宗教の役割」</div>
<div>
<br /></div>
<div>
日時:2013年2月9日(土)13:00~17:00</div>
<div>
場所:大正大学巣鴨校舎 1号館2階大会議室(東京都豊島区西巣鴨3-20-1)</div>
<div>
【パネリスト】</div>
<div>
・金田諦應(曹洞宗通大寺住職/カフェ・デ・モンク マスター)</div>
<div>
「傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」の活動について」</div>
<div>
・川村一代(ライター/若一王子宮 権禰宜)</div>
<div>
「3.11で発露した神道のこころ~つなぐ~」</div>
<div>
・篠原祥哲((公財)世界宗教者平和会議日本委員会 仙台事務所所長)</div>
<div>
「震災対応における公共政策と宗教」</div>
<div>
・林里江子(CLC(クリスチャン・ライフ・コミュニティ)被災地支援デスク/SIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)会員)</div>
<div>
「傷ついた癒し人―被災地における当事者性―」</div>
<div>
【コメンテーター】</div>
<div>
・秋田光彦(浄土宗大蓮寺住職・應典院代表)</div>
<div>
・渡辺順一(金光教羽曳野教会長/金光教大阪センター次長/支援のまちネットワーク合同代表)</div>
<div>
【司会】</div>
<div>
・稲場圭信(大阪大学准教授)</div>
<div>
・黒崎浩行(國學院大學准教授)</div>
<div>
※参加費無料(懇親会費3000円)</div>
</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<a href="http://www.iisr.jp/news.htm#sympo">国際宗教研究所のウェブサイト</a>に、開催趣旨と参加申し込み方法が掲載されています。ふるってご参加ください。</div>
黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-53875856102963585922012-03-05T15:01:00.001+09:002012-03-05T15:01:34.338+09:00ホームページ更新業績や授業科目の紹介を主にしているホームページですが、「研究」欄に「現代社会と神社」という項目を加えて更新しました。
<br />
<ul>
<li><a href="http://www.capnoir.jp/">クロサン</a></li>
</ul>黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-13209722170809005272012-02-14T12:58:00.000+09:002012-02-14T13:00:05.046+09:00『新明解国語辞典』と宗教<p>
最近発売された<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4385131074/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4385131074">『新明解国語辞典 第七版』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=kurosan-22&l=as2&o=9&a=4385131074" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />(三省堂、2012年)を買って「宗教」の項目を読んだら、面白いことに気がついた。
</p>
<p>
第7版での「宗教」の語釈は次のようになっている。
</p>
<blockquote>
しゅうきょう【宗教】(一)生きている間の病気や災害などによる苦しみや、死・死後への不安などから逃れたいという願いを叶えてくれる絶対者の存在を信じ、畏敬の念をいだきその教えに従おうとする心の持ちよう。また、それに関連して行われる儀礼的行為。「心の救いを―に求める/―心・―性」(二)仏教・キリスト教・イスラム教など、全世界に分布している「宗教(一)」。また、その総称。「新興―・国家―・―音楽・―裁判・山岳―・民族―」
</blockquote>
<p>
「災害などによる苦しみ」というフレーズに目が吸い寄せられた。第7版の序文には、東日本大震災からの復興にさいしてよく言われている「絆」という語と、復興に果たす言葉の力について述べられているが、そうした脈絡から災害と宗教との関わりにも触れられているのだろうか、と思い、気になって、過去の版と見比べてみた。
</p>
<p>
すると、2005年発行の第6版では、次のようになっていた。
</p>
<blockquote>
しゅうきょう【宗教】心の空洞を医すものとして、必要な時、常に頼れる絶対者を求める根源的・精神的な営み。また、その必要性を求めることの意義を説く教え。「―心・新興―・―性・―的行事・―合唱曲・国家―・―音楽・―裁判・山岳―・民族―」
</blockquote>
<p>
この記述は、1981年発行の第3版から変わっていない。そして、1972年発行の初版と1974年発行の第2版はどうかというと、
</p>
<blockquote>
しゅうきょう【宗教】人間を越えた絶対的なもの、たとえば神や仏などを信仰することによって、慰め・安心・幸福を得ようとすること。また、そのための教え。「―心・新興―」
</blockquote>
<p>
ここでも興味深い変化があったことがわかる。超越者・絶対者(神仏)をまず説明の頭に置いた時期(1970年代)から、「心の空洞を医す」ことを頭に置く時期(1980〜2000年代)への変化である。
</p>
<p>
良心的な辞書の記述は、たんなる執筆者の思いつきや他の辞書の孫引きではなく、膨大なコーパスの蓄積や専門家による定義に依拠しているはずなので、そうしたものの反映だとすれば、とても示唆的で興味深い。
</p>黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-22020497005742895082011-05-02T23:42:00.006+09:002011-06-25T07:58:59.961+09:00三陸海岸を訪ねる東日本大震災で津波被害にあった三陸海岸を、4月30日から5月2日にかけて訪ねた。その経緯から述べたい。<br /><br />「日本発 共存社会モデル構築による世界貢献(共存学)」というプロジェクトが國學院大學研究開発推進機構で古沢広祐経済学部教授を代表者として進められており、私も微力ながら関わっている。今年(2011)の1月22日、共存学プロジェクト主催で「生命(いのち)と文化の多様性〜森・里・海の絆を結ぶ〜」と題する公開フォーラムが行われたが、その第2部「文化多様性が紡ぎ出す世界」で、畠山重篤氏(NPO法人森は海の恋人代表、京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授)が演壇に立たれた。畠山さんは、気仙沼でカキ養殖業を営みつつ、漁場の生態系をとりもどすため、気仙沼湾に注ぎ込む大川の上流にある室根山に広葉樹を植える運動、「森は海の恋人」運動を進めてこられた方である。フォーラムは成功裡に終わったが、残念なことに私自身は当日体調を崩して出席できなかった。<br /><br />3月11日以後、「共存学」プロジェクトのメンバー間で、畠山さんやそのご家族の安否を心配するメールが交わされ、やがてご本人の無事と、ご母堂様を亡くされたことが確認された。共存学プロジェクトのメンバーであり、以前から畠山さんと交流のある茂木栄神道文化学部教授は、現地で供給が途絶えているというガソリンなどを車に積んでかけつけた。また、これからもカキ養殖を続ける、という畠山さんの力強いメッセージが、さまざまなマスメディアで報道されるようになっていった。<br /><br />そんな中、NPO法人森は海の恋人、NPO法人ものづくり生命文明機構、国際日本文化研究センター安田喜憲研究室の共催で「東日本大震災:『森は海の恋人運動』を緊急支援する研究会」が、4月30日と5月1日、気仙沼市と一関市で行われるという情報が、古沢先生から回ってきた。私のようなものでも参加してよいだろうか、この時期に直接的な支援をすることもなく現地入りしてよいものだろうかとかなり迷ったのだが、現地の様子をこの目で見ておきたい、また被災地の再生・復興に向けての当事者、支援者をまじえた議論に参加したい、という思いが勝ち、参加を申し込むことにした。<br /><br />それと前後して、茂木先生の発案により、やはり畠山さんと交流のある薗田稔先生(秩父神社宮司、京都大学名誉教授)、薗田建氏(秩父神社権禰宜)とともに、畠山さんほか被災地の方々への支援物資も携えて、5月2日まで三陸海岸の神社を可能なかぎり訪ねるというスケジュールが組まれ、こちらにも参加させていただくことにした。<br /><br />4月30日の早朝、秩父神社を茂木先生が運転する車で出発し、東北自動車道を北上していくと、福島県に入ったあたりから「災害派遣」のプレートや横断幕をつけた自衛隊の車両が目立つようになっていった。自動車道をおりて東に向かうにつれ、地震で倒壊した建物がときおり目に入ったが、本吉町に入ったときに光景が一変した。津波被害に遭ったところは一面が瓦礫の山で、あとかたもない状態になっていた。気仙沼市街、そして唐桑半島に入っても同様で、リアス式海岸の複雑な地形にあわせて、隣接するところでも津波が到達したかしなかったかで雲泥の差を見せていた。ただ、これはすでに報じられていることでもあるが、住宅地では、瓦礫の一言では片付けられない、ひとの生活の跡が認められた。珠算コンクールの優勝トロフィー、写真、ぬいぐるみ、スリッパ…。捜索、撤去作業を進めている自衛隊員の方などが、あえて目につくように置き直しているようにも思え、そんなところにも救援活動に携わっている人たちの思いが推察された。<br /><br />気仙沼市街を少し外れたところで合流した緊急支援研究会の参加者一行とともに、唐桑半島にあるカキ養殖場と畠山さんの自宅の様子を見学させていただいたのち、私たち一行は唐桑半島の突端に鎮座する御崎神社を訪れた。実は宮司さんの娘さんがかつて茂木先生の指導を受けた卒業生で、茂木先生は先にも訪ねて物資を届けていた。あらためて再会を喜んだ。<br /><br />4月30日の夜に気仙沼で、そして5月1日の昼に一関市内に会場を移して行われた緊急支援研究会は、60名におよぶ多彩なメンバーが一堂に会し、畠山さんの再生に向けたメッセージと、安田喜憲教授の文明論的、長期的ビジョンを柱にして、漁業、ものづくり、歴史学、医療、法律、コミュニティ、まつり・民俗芸能などさまざまな立場から思いをもった人々による専門的知見にもとづく支援の取り組みを発表し討議するという圧倒的かつ密度の濃いものだった。この成果はいずれ目に見える形になってくるものと思う。個人的にもっとも印象に残ったのは、平川新東北大学教授による古文書の保全と写真記録に関する発題だった。人文学ならではの支援について大きな示唆を受けた。<br /><br />5月1日の夕方、茂木先生、薗田稔先生・建氏、古沢先生と私は遠野市に入った。一見平穏そうだが、さながら後方支援基地のようで、自衛隊が運動公園に宿営し、温泉には各地から来たボランティアの人たちが集まっていた。<br /><br />5月2日は朝から移動を開始し、事前に『神社新報』掲載情報や神社界の関係者の方からいただいた情報を参考にして、ふたたび三陸海岸を目ざした。はじめに訪れたのは大槌町に鎮座する小鎚神社であった。神道青年全国協議会メンバーが炊き出しなどの支援活動を行ったとうかがっていた。周囲一帯は津波被害に遭っており、また山火事が発生したためところどころ焼けた跡になっていたが、社殿は無事で、境内手前の集会所は「県立大槌病院仮設診療所」となっていた。その診療所に母親を連れてきた息子さんと、宮司さんのご家族の方に、震災当日から現在までの様子について少しお話をうかがうことができた。茂木先生の質問により、大槌町に伝承される民俗芸能の現状に関連することがらもうかがえた。<br /><br />大槌町ではまた、大槌稲荷神社を訪ねた。高台にあり、参集殿に避難されている方たちがいた。この後沿岸を南下して行き、釜石市街の松原神社、八幡宮、唐丹の天照御祖神社、大船渡市の加茂神社を訪ねた。いずれも高台にあり、釜石の松原神社と大船渡の加茂神社は津波のさいの避難場所として指定されていた(加茂神社境内には大きな「津波警報塔」が立っている)。ただ、これらの神社では現地の方に直接お話をうかがうことはできなかった。<br /><br />陸前高田まで南下した。そこは見渡すかぎり広大な瓦礫の地で、気仙川、矢作川をさかのぼった津波により、海の見えない地帯にまで被害が連なっていた。事前に得ていた情報から、月山神社を訪ねたかったが、残念ながら橋が通行止めになっていたため、あきらめて一関へと車を走らせた。<br /><br />帰りの車中、自然と議論になった。この時期に直接的な支援をするでもなく現地を見て回ることが正しかったのかどうか、研究者は被災地支援にどうかかわるべきか、大学に戻って学生にこの状況をどう伝え、はたらきかけるべきか、災害に向き合っての神社神道ならではの思想、支援のあり方とはどのようなものか、など。ひとつの方向性が見えたようにも思えたが、いまはまだ結論めいたことを言うのは控えたい。<br /><br />いずれにせよ感じたことは、この震災、津波被害からの復興、再生には息の長い、長期的な支援が必要であり、同時に我々がどういう復興、再生をめざすのかについて、過去の経験、知恵に根ざした議論を交わし、それをこれからの社会にしっかりと根づかせていくことが重要だということだった。今回は迷いながらの参加であったが、やはりあらゆる機会をとらえて柔軟に動きつつ、さまざまな連携の可能性を模索しながら、自分にできることをやっていきたい。<br /><br />最後に、このたびの震災・津波で命を落とされた方々のご冥福をお祈り申し上げ、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。<br /><br />(2011-06-17追記) 4月30日・5月1日の「沿岸漁業の再生:東日本大震災『森は海の恋人運動』を緊急支援する研究会」での緊急提言が、<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4892056049/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4892056049">安田喜憲編『対論 文明の原理を問う』</a>(麗澤大学出版会)の「あとがきに代えて」に掲載されている。<br /><br />(2011-06-25追記) 平川新東北大学教授らによる、被災した歴史資料・文化財の保全活動は、<a href="http://www.miyagi-shiryounet.org/">NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークのウェブサイト</a>で見ることができる。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-61891598240055524782011-04-24T11:43:00.003+09:002011-04-24T12:07:42.391+09:00電子ジャーナル『宗教と社会貢献』電子ジャーナル『宗教と社会貢献』第1巻第1号が刊行された。<br /><br /><a href="http://ir.library.osaka-u.ac.jp/web/RSC/index.html">『宗教と社会貢献』</a><br /><br /><a href="http://keishin.way-nifty.com/scar/">「宗教と社会」学会・宗教の社会貢献活動研究プロジェクト</a>に集った研究者たちが母体となった「宗教と社会貢献」研究会の創刊する査読つき電子ジャーナルで、「宗教と社会貢献」にかかわる学術論文を発表して研究者の関心を広く社会に伝えることを目的としている。編集委員長は<a href="http://altruism.blog56.fc2.com/">稲場圭信大阪大学准教授</a>。<br /><br />第1巻第1号の目次は以下のとおり。<br /><br />創刊の辞 稲場 圭信<br />論文<br />無自覚の宗教性とソーシャル・キャピタル 稲場 圭信<br />ソーシャル・キャピタル論の射程と宗教 櫻井 義秀<br />賀川豊彦と海洋文明―死線と大震災を越えて― 濱田 陽<br />宗教活動は社会貢献活動か? ―「宗教団体の社会的な活動に関するアンケート調査」の分析― 寺沢 重法<br />フォーラム報告<br />多宗教の実践知が社会を救済する―「共生社会と宗教」を終えて― 山口 洋典<br />博士論文概要<br />『野宿者支援における宗教の社会参加 ―Faith-Related Organization の観点から―』 白波瀬 達也<br />書評<br />磯村健太郎著『ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む』 髙瀬 顕功<br />細谷幸子著『イスラームと慈善活動 ―イランにおける入浴介助ボランティアの語りから―』 葛西 賢太<br /><br />濱田さんの論文タイトルをみて、おや、と思われるかもしれない。「大震災」は1923年9月1日の関東大震災のことで、もちろん3月11日よりも前に執筆され、投稿された論文だ。このたびの東日本大震災にさいしての編集委員会の思いは、稲場さんの「創刊の辞」につづられている。<br /><br />10月末刊行の次号(1巻2号)の投稿受付も6月末締め切りで行われている(<a href="http://keishin.way-nifty.com/scar/2011/01/post-39cb.html">投稿規定</a>)。<br /><br />私も今回編集委員の一人に加えさせていただき、主に投稿用テンプレートの作成やPDF化などのプロセスに関わっている。国内外のオンラインジャーナルや機関リポジトリなどには日々お世話になっているが、ジャーナルを編集する側に回るのは初めての経験だ。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-79942452442636636622011-03-14T06:09:00.006+09:002011-04-02T10:46:33.426+09:00宗教者災害救援ネットワーク2011年3月11日金曜日、東北・北関東地方の太平洋側を大きな地震・津波が襲いました。<br /><br />私自身は幸いに当日も徒歩で帰宅でき、自宅周辺もライフラインに支障がありませんが、被災地の状況や、親類、友人、知人の安否を知るにつけ、自分に何ができるか考えています。<br /><br />そんななか稲場圭信さんが、Facebookに「<a href="http://www.facebook.com/FBNERJ?sk=wall">宗教者災害救援ネットワーク</a>」というページの開設を呼びかけてくださいました。<br /><br /><blockquote>東北・関東大地震・津波により、ご自身が、あるいは、家族・親族・友人が被災者かもしれません。大切な方を亡くしている人もあるかもしれません。突然すべてを失った方々のご冥福をお祈り申し上げます。<br /><br />宗教者の救援情報、活動場所の情報、義捐金情報、など様々なものを共有できたらと思います。救援と復興にむけて。</blockquote><br /><br />Facebookのアカウントをおもちの方はぜひご活用ください。<br /><br />Twitterでも情報収集・共有を行っています(私のアカウントは @capnoir)。<br /><br />(2011-03-14 16:35修正:ページのURLがシンプルになりました。)<br /><br />(2011-03-21 21:31追記)バナーができました。<br /><br /><!-- Facebook Badge START --><a href="http://www.facebook.com/FBNERJ" target="_TOP" style="font-family: "lucida grande",tahoma,verdana,arial,sans-serif; font-size: 11px; font-variant: normal; font-style: normal; font-weight: normal; color: #3B5998; text-decoration: none;" title="宗教者災害救援ネットワーク">宗教者災害救援ネットワーク http://www.facebook.com/FBNERJ </a><span style="font-family: "lucida grande",tahoma,verdana,arial,sans-serif; font-size: 11px; line-height: 16px; font-variant: normal; font-style: normal; font-weight: normal; color: #555555; text-decoration: none;"> | </span><br/><a href="http://www.facebook.com/FBNERJ" target="_TOP" title="宗教者災害救援ネットワーク"><img src="http://badge.facebook.com/badge/170476679671514.1763.1679038922.png" width="347" height="84" style="border: 0px;" /></a><!-- Facebook Badge END --><br /><br />(2011-04-02 10:44追記)<a href="http://www.indranet.jp/syuenren/index.html">宗教者災害支援連絡会</a>が発足しました。被災者、避難者、疎開者の受け入れ情報を提供、交換する宗教者・宗教団体の連絡組織です。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-45014432027590832682010-06-07T16:10:00.002+09:002010-06-07T16:13:35.156+09:00公開RSSリーダー引っ越しいろいろと探し回りましたが、とりあえず、以下のページに移ろうと思います。<br /><br /><a href="http://hkuro.matome.tv/">宗教学・宗教研究・宗教情報</a> (まとめフィード)<br /><br />今まで利用していたはてなRSSの機能を完全に置き換えるものにはなりませんが…。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-47127160648610897902010-02-03T17:26:00.003+09:002010-02-04T08:23:25.878+09:00公開RSSリーダーの引っ越し先を検討中<a href="http://r.hatena.ne.jp/closing">はてなRSSは6月30日に終了します - はてなRSS</a><br /><br />残念……。はてなRSSを利用して、ずいぶん長いこと、<a href="http://r.hatena.ne.jp/kurosan/">Kuro-san: RSS Reader - 宗教学・宗教研究・宗教情報</a>というページを公開してきた。研究会や学会などで会った人から、「あのページ見てます」という声をいただくことが多く、もちろん自分にとっても非常に有用なので、どこか引っ越し先を考えなければならない。<br /><br />とりあえず、はてなの案内に載っている2つのサービスに、登録情報を入れてみた。<br /><br /><a href="http://www.google.co.jp/reader/shared/user%2F18122071544139464818%2Flabel%2F宗教学・宗教研究・宗教情報?hl=ja&hl=ja">Googleリーダーの公開ページ</a><br /><br /><a href="http://reader.livedoor.com/public/noir123">Livedoor Readerの公開ページ</a><br /><br />……だめだ、全然代用にならない。Googleのものは(登録先サイトがAtomフィードの場合)本文まるごと、さらには画像までも大きく表示して、最新の記事をチェックするのには面倒だ。Livedoorは多少ましだけれど、左ペインからいちいち登録サイトをクリックして、サイトごとに記事一覧を表示しなければならない。<br /><br />登録サイトの記事見出しのみを最新順に並べて表示するようなシンプルな公開RSSリーダーはないものだろうか。<a href="http://individurls.com/myfeeds/hkuro/">Indiviurls</a>がこれに近いけれど、サイトごとに表示ブロックが区切られているのが惜しい。<br /><br />どなたかいいサービスをやっているところを教えていただけると幸いです。<br /><br />(2010-02-04追記)<br /><br /><a href="http://www.xfruits.com/">xFruits</a>というサービスを使ってみた。<br /><br /><a href="http://www.xfruits.com/hkuro/?id=91386">宗教学・宗教研究・宗教情報</a>(RSS。RSSリーダー機能のあるブラウザで閲覧可)<br /><br /><a href="http://www.xfruits.com/hkuro/?id=91387">Kuro-san RSS Reader: 宗教学・宗教研究・宗教情報</a>(上記RSSをRSS to WEB機能を使って表示)<br /><br />ソースがどこのサイトなのかがわかりにくいのと、未読チェックが効いているのかが確認できないのが惜しいが、複数のRSSをまとめたRSSを提供するだけという解決法はありかもしれない。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-85854441684838524102010-01-28T11:32:00.002+09:002010-01-28T11:36:59.969+09:00シンポジウム「国際化に向き合う神社神道」主催 平成21年度 國學院大學「特色ある教育研究」<br />「国際化に対応した神道人育成のための基礎的調査と教材開発」<br />(研究代表者 ヘイヴンズ・ノルマン神道文化学部准教授)<br /><br />日時 平成22年2月21日(日) 13:00-17:30<br />会場 國學院大學渋谷キャンパス学術メディアセンター1階 常磐松ホール<br /><br />発題者 <br /> 瀧澤昌彦氏(ハワイ金刀比羅神社・ハワイ太宰府天満宮宮司) <br /> 渡邉大蔵氏(ヒロ大神宮宮司) <br /> ヘィヴンズ・ノルマン(國學院大學神道文化学部准教授) <br /> 上田良光氏(東北学院大学教授、福島・磐椅神社宮司) <br /> 岩橋克二氏(神社本庁国際交流課、國學院大學兼任講師) <br /><br />コメンテーター <br /> 井上順孝(國學院大學神道文化学部教授) <br /><br />司会 <br /> 菅 浩二(國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センター助教) <br /><br />討議司会 <br /> 黒﨑 浩行(國學院大學神道文化学部准教授)<br /><br />開催趣旨や参加申込方法は、<a href="http://www.kokugakuin.ac.jp/shinto/shin05_00068.html">お知らせのページ</a>をご覧ください。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-9911742895986583922009-12-01T10:13:00.004+09:002009-12-01T10:22:14.600+09:00「だ・である」調と「です・ます」調<blockquote>もうひとつ、新書の多くが「書き言葉(だ・である)」から「話言葉(です・ます)」で書かれている。つまりあれはほとんどオーディオ・ブック。読者は言葉(ロジック)を読んでいるのではなく、語り(レトリック)だけを聴いている。 (<a href="http://twitter.com/solar1964/statuses/6153996086"> Twitter / Nakamata Akio</a>)</blockquote><br /><br /><blockquote>とにかく、いまは新書に限らず、本が「属人性」を高めてることは確かだね。「ファン」が読む本と、「アテンション・エコノミー」で動く本だけになった。昔の新書は、必ずしも著者名に頼らない「コンスタティブ」な本が多かったが、いまはパフォーマティブな本ばかり。(<a href="http://twitter.com/solar1964/statuses/6154437706">Twitter Nakamata Akio</a>)</blockquote><br /><br />本とは別に思い当たるのが、学生が書くレポートに「です・ます」調が多いこと。<br /><br />授業では何度も、レポート・論文は「だ・である」調で書くんですよ〜と言っているのだが、聞いてくれていないのか、こちらの説明の仕方が悪いのか、やっぱり一定の割合で「です・ます」調で書いてくる。あれはなぜだろうとずっと考えていた。<br /><br />「属人性」、「パフォーマティブ」という説明でようやく納得が行った。これは要するに、レポートを内容でなくそれを書いた人物で、あるいは一生懸命さで評価してほしいという訴えなのだと。<br /><br />これからは、レポートは書かれた内容・結果で評価しますから「です・ます」調で書いても無駄ですよ、と説明することにしよう。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-82875591031402490582009-11-11T21:55:00.003+09:002009-11-21T05:51:16.366+09:00神道宗教学会第63回学術大会神道宗教学会第63回学術大会<br />大会テーマ「現代神道と社会参加―新たな公、新たな結をめぐって―」<br /><br />学術講演<br />〔日時〕平成21年12月5日(土)午後1時より<br />〔場所〕國學院大學渋谷キャンパス学術メディアセンター1階常磐松ホール<br />「地域コミュニティの変容と伝統芸能の継承」<br />講師 星野紘氏(東京国立文化財研究所客員研究員・成城大学大学院文学研究科非常勤講師)<br /><br />・シンポジウム「地域コミュニティの変容と神社神道の社会的役割再考」<br />発題者<br />櫻井治男氏(皇學館大学社会福祉学部教授)<br />恩田守雄氏(流通経済大学教授)<br />筒井琢磨氏(皇學館大学社会福祉学部教授)<br />板井正斉氏(皇學館大学社会福祉学部専任講師)<br />小林宣彦氏(國學院大學兼任講師・太平山神社禰宜)<br />コメンテーター<br />星野紘氏<br />茂木貞純氏(國學院大學神道文化学部教授)<br />司会<br />黒崎浩行(國學院大學神道文化学部准教授)<br />科学研究費補助金基盤研究(B)「宗教の社会貢献活動に関わる比較文化・社会学的研究」による成果<br /><br />(追記)<br /><a href="http://www.kokugakuin.ac.jp/shinto/shin05_00064.html">学会のページ</a>で12月5・6日の詳細なプログラムが案内されています。ご関心のある方はふるってご参加ください。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-60934650371206540442009-07-25T14:03:00.003+09:002009-07-25T14:54:47.808+09:00映画『精神』(想田和弘監督)<a href="http://www.laboratoryx.us/mentaljp/index.php">映画『精神』公式サイト</a><br /><br />想田和弘監督の「観察映画」第2弾、『精神』を観に行った。<br /><br />この映画が撮影された2005年は、小泉政権のもとで「障害者自立支援法」が成立したころで、映画でもこの法律に対する現場の戸惑いや不満が映し出されている。間近に迫った衆議院選挙で政権交代を狙う民主党は、この法律で定められた認定区分のあり方や定率一割負担の見直しを求めており、今は実にタイムリーな公開時期だと思う。<br /><br />私たちは多かれ少なかれ生きづらさを抱えて日々を送っていると思うのだが、針が振り切れて具体的な損失が現れてしまうとき、私たちはその人にどう対応していったらいいのか。医療体制はもちろんあるわけだが(その運営の大変さも)、偏見というベールに覆われてもいる。「観察映画」という手法(音楽・テロップがいっさいなく、撮影者・カメラがとらえたものをひたすら観客に提示する)がそのベールをはぎとり、一人の対話者として向き合う勇気のようなものを与えてくれたような気がする。<br /><br />細かい感想としては、最後のシーン(患者の方が、公営住宅への入居希望について役所に電話をかけて遅くまでクレームをつけ、スクーターに乗って走り去る)にはガツンときた。『精神病とモザイク』(想田和弘著、中央法規)には、試写会でのこのシーンをめぐるジャーナリストの下村健一氏との議論が載っていて、ああやっぱりと思ったのだが、おそらく観る人によってかなり印象や評価が変わると思う。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-49625168210227395532009-06-25T23:33:00.004+09:002009-06-26T00:07:16.220+09:00イランのブログ空間イラン大統領選挙後の混乱が、インターネットに飛び火している。現職のアフマディネジャド大統領の再選が発表されたが、敗北したムサビ元首相の支援者たちが抗議行動を開始。Facebook、YouTube、Twitterなどが情報交換に盛んに使われた。イラン政府は帯域幅を制限するなど規制強化を行っているようだが、Twitterはイランの時間帯に合わせてメンテナンス時間の変更を行い、GoogleとFacebookが急遽ペルシャ語に対応するなど、反政府の抗議活動を「Web 2.0」系サービスが積極的に支えているように見える。<br /><br />そんななか、瀧口範子「シリコンバレー通信」<a href="http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090624/1016319/?P=1&set=rss_a">混迷のイランにTwitter革命は起こるか?</a> という記事を通じ、ハーヴァード大学バークマンセンターが<a href="http://cyber.law.harvard.edu/publications/2008/Mapping_Irans_Online_Public/interactive_blogosphere_map?set=rss_a">Interactive Persian blogosphere map</a> というものを公開していることを知る。どのような手法で描画しているのかについての説明もあるが、専門的でよくわからない。ただ、いずれにしても改革派だけでなく保守派、詩歌(?)、サイバーシーア(?)など多様な人びとがブログで発信しているらしいことはうかがえる。<br /><br />"Twitter Revolution" なるフレーズも一人歩きしているようだが、Gaurav Mishraというメディアアナリストは<a href="http://worldfocus.org/blog/2009/06/18/irans-twitter-revolution-myth-or-reality/5869/">Iran’s “Twitter Revolution” — myth or reality?</a> というインタビュー記事で、それは間違いであり、イランで起こっていることをそう呼ぶことで、アフマディネジャドの支援者やムサビの支援者のオフラインのネットワークを過小評価することになると警告している。ただし、世界中の注目をこの危機に向けさせたことの重要性は付け加えている。<br /><br />Twitterで<a href="http://twitter.com/maruyama097/status/2213687933">こんなつぶやき</a>を見つけた。<br /><br /><blockquote>我々は、Twitterを通じてイランの情報をえた。ただ、我々が、関心を寄せるべきなのは、Twitterではなく、イランの現実だと思う。</blockquote><br /><br />まったくそのとおりだと思う。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-38106909139882541102009-06-16T19:13:00.002+09:002009-06-16T21:16:46.503+09:00「宗教と社会」学会第17回学術大会<a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/jasrs/">「宗教と社会」学会</a><br /><a href="http://jasrs.seesaa.net/">第17回学術大会ホームページ</a><br /><br />6月6・7日に創価大学で行われた「宗教と社会」学会第17回学術大会に参加した。前回につづき今回も、発表・セッションを聞く側であった。新型インフルエンザの影響が心配されたけれど、とても盛況だった。<br /><br />1日目の個人発表。今井信治さんの鷲宮神社についての発表は、絵馬掛所の様子からとらえた参拝者側と神社側との関わり方の分析が面白かった。絵馬といえば昨年夏に横浜市歴史博物館が絵馬の展示をやっていたし、戦時期の絵馬を解読した Jeniffer Robertson, "Ema-gined Community: Votive Tablets (ema) and Strategic Ambivalence in Wartime Japan" (Asian Ethnology 67-1 (2008)) [<a href="http://www.nanzan-u.ac.jp/SHUBUNKEN/publications/afs/pdf/a1622.pdf">PDF</a>] も興味深く読んだところだったので、なんとなく絵馬の時代がきているような気がする。井上大介さんのルチャ・リブレについての発表を聞いたら、そういえば<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4335160585?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4335160585">『映画で学ぶ現代宗教』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=kurosan-22&l=as2&o=9&a=4335160585" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />に『グラン・マスクの男』(ジャン・レノ主演の、孤児院を運営するカトリック神父が覆面レスラーとして活躍する作品)が入っていない、と思った。<br /><br />2日目のテーマセッションは、午前・午後ともぜひ参加したい内容が二つ並んだので、大変困った。午後の第1会場での宗教文化教育に関するセッションは、さまざまな学問分野から宗教文化への接点をさぐるというものだったが、とくに科学技術コミュニケーター養成に関する野原佳代子先生の発表が興味深かった。科学技術をめぐる専門家と素人の対話の促進にとって宗教文化はどう位置づけられるかという視点からのもので、<a href="http://www.iri.titech.ac.jp/literacy/index.html">東京工業大学での取り組み</a>や、文部科学省科学技術政策研究所による調査の結果なども踏まえられ、とても貴重な提言が含まれていたように思う。科学と宗教の関係と言えば、生物進化論についても対立した(<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480088784?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480088784">ステルレルニー『ドーキンスVSグールド』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=kurosan-22&l=as2&o=9&a=4480088784" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />)、リチャード・ドーキンス(<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4152088265?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4152088265">『神は妄想である』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=kurosan-22&l=as2&o=9&a=4152088265" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />)とスティーヴン・ジェイ・グールド(<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822245721?ie=UTF8&tag=kurosan-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822245721">『神と科学は共存できるか?』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=kurosan-22&l=as2&o=9&a=4822245721" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />)の著作が近年あいついで邦訳されたこともあり(すみません積ん読です)、神話や多文化共生をめぐる問題と並んで、宗教文化を学ぶ現場に直結するビビッドな領域のように思った。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-21630346303186692302009-06-16T18:00:00.003+09:002009-06-16T18:05:03.676+09:00テュービンゲン<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://3.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SjdgB-Dqx5I/AAAAAAAAADY/XL--0XPrj-E/s1600-h/tuebingen20090614_neckar.jpg"><img style="float:left; margin:0 10px 10px 0;cursor:pointer; cursor:hand;width: 320px; height: 240px;" src="http://3.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SjdgB-Dqx5I/AAAAAAAAADY/XL--0XPrj-E/s320/tuebingen20090614_neckar.jpg" border="0" alt=""id="BLOGGER_PHOTO_ID_5347848669480273810" /></a><br /><a href="http://www.japanologie.uni-tuebingen.de/index.php">Japanologie Tübingen</a><br /><br />イアン・リーダー先生、ビルギット・シュテムラーさん、エリカ・バフェッリさんに誘われて、Fritz-Thyssen財団の助成によりドイツのテュービンゲン大学で開かれた Religion 2.0 in Japan: Shifting Patterns of Authority と題するワークショップに参加した。少人数の参加者による3日間の集中討議は、すばらしい体験だった。英語についていくのは大変だったけれど……。<br /><br />テュービンゲンは町全体に大学施設が散らばっていて、同大学教授のクラウス・アントーニ先生によれば、神学校の町として開けたことから町そのものが大学であるとのこと。ゲーテやヘルダーリン、ヘルマン・ヘッセにまつわる史跡も点在している。学生とおぼしき若者が多い。天気もよく快適だった。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-78545842359601695412009-05-14T13:02:00.002+09:002009-05-14T13:05:18.065+09:00野町和嘉写真展「聖地巡礼」<a href="http://www.syabi.com/details/nomachi.html">東京都写真美術館 > 野町和嘉写真展「聖地巡礼」</a><br /><br />恵比寿の東京都写真美術館で開催。今週日曜で会期終了だ。時間をみつくろって行ってみよう。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-39626456909399354702009-04-08T20:03:00.002+09:002009-04-08T20:11:20.709+09:00新井大祐・大東敬明・森悟朗『言説・儀礼・参詣―〈場〉と〈いとなみ〉の神道研究』<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=kurosan-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4335160550&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><br /><br />著者のお一人の森悟朗さんから、新刊の『言説・儀礼・参詣―〈場〉と〈いとなみ〉の神道研究』をいただいた。<br /><br />神社縁起にみられる中世の神祇信仰を研究している新井さん、寺院儀礼の中の神道的要素について研究している大東さん、江の島をフィールドに宗教と観光について研究している森さんと、対象も方法も異なる研究が一冊に収められているが、序文によると、まさにこの神道研究の多様さを示すことが刊行のねらいであるようだ。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-45015729079712015972009-04-08T19:55:00.004+09:002009-04-09T00:16:59.341+09:00『メディアコンテンツとツーリズム』<a href="http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/38119">メディアコンテンツとツーリズム : 鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性 / 北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編</a><br /><br />この3月に卒業したばかりの佐藤善之君から、北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編『CATS叢書 第1号 メディアコンテンツとツーリズム―鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性』をいただいた。<br /><br />上記リンク先にあるように、北海道大学の機関リポジトリでPDF版が公開されている。佐藤君のほかにも、筑波大学大学院の今井信治さんも寄稿していて、「サブカルチャーを文化資源としたツーリズム」(「巻頭言」より)についての実践的かつ実証的な調査研究が集められているようだ。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-44964394386605775942009-03-25T17:25:00.003+09:002009-03-25T17:32:21.549+09:00『宗教と現代がわかる本2009』<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=kurosan-22&o=9&p=8&l=as1&asins=458270283X&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><br /><br />編集者の渡邊直樹さんより、新刊の『宗教と現代がわかる本2009』をいただいた。<br /><br />『2007』、『2008』と寄稿させていただいたが、残念ながら今回はなし。けれど、特集「天皇と宮中祭祀」をはじめとして、秋葉原連続殺傷事件、YouTube、現代仏教、日系ブラジル人の宗教、『聖☆おにいさん』など、昨年の宗教事情に関する刺激的な論考が満載だ。来年度の準備や遅れている原稿執筆でいそがしい今日この頃なのだが、つい読み進んでしまう。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-67694995205257038352009-03-08T22:34:00.005+09:002009-03-08T22:57:41.699+09:00「紙と神」展<a href="http://www.papermuseum.jp/">紙の博物館</a><br /><br /><a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://4.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SbPKDuhkVDI/AAAAAAAAADQ/rMovYER1BM8/s1600-h/papermuseum20090308.jpg"><img style="float:right; margin:0 0 10px 10px;cursor:pointer; cursor:hand;width: 320px; height: 240px;" src="http://4.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SbPKDuhkVDI/AAAAAAAAADQ/rMovYER1BM8/s320/papermuseum20090308.jpg" border="0" alt=""id="BLOGGER_PHOTO_ID_5310810550977188914" /></a>東京都北区王子というと、地名の由来に関係している王子権現(王子神社)や、「王子の狐」という落語でも有名な王子稲荷神社が鎮座しているが、近代の製紙産業発祥の地としても有名だ。この二つの「カミ」を結びつけるような企画展示が、飛鳥山公園内にある「紙の博物館」で行われていることを知り、最終日の今日、見に行って来た。<br /><br />紙の博物館は、紙の歴史や製造工程などを展示している施設で、行ってみると見学に来た子どもたちでにぎわっていた。「紙と神」展は3階の小さな展示室で行われていた。御幣、切り紙、形代、神札、牛玉宝印など、日本全国の神信仰にまつわる紙が解説つきで陳列され、伊勢の神宮に神札の用紙を納めている大豐和紙工業株式会社のパネル展示もあった。熱心にメモをとりながら展示を見ている小学生もいて、こういう切り口もあるのかと感心した。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-71246203543241061532009-03-06T17:35:00.002+09:002009-03-06T18:10:34.420+09:00鎮守の森で作業体験3月4・5日、三重県鈴鹿市の加佐登神社を訪れた。地域づくりの担い手の育成・連携の場としての神社のありように焦点をあてた調査の一環である。こちらの神社での鎮守の森保全の活動のことを1月初旬にうかがい、ぜひ訪れてみたいと思っていた。<br /><br />今回は、立場の異なる複数の関係者の方々から詳しいお話をうかがえただけでなく、作業体験までさせていただいた。境内の東側の森にバリアフリー・ルートを作る活動をしている<a href="http://www.mecha.ne.jp/~graywolf/">ボランティアセンター・ラブリーフォレスト</a>のサイトに、その様子がさっそく紹介されている。お話をうかがい、作業をしてみるなかで、鎮守の森=禁足地のようなイメージががらりと変わり、人間の生活とかかわりながら変化しつづける森というものをあらためて認識させられた。また、さまざまな経験・背景をもつ人々が互いを尊重しながらゆるやかに連携して活動してこられている姿に魅力を覚えた。こちらで学ばせていただいたことをぜひこれからの研究・教育に活かしていきたい。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-22707549789313198002009-02-24T13:07:00.003+09:002009-02-24T13:47:39.126+09:00チェンジリング<a href="http://changeling.jp/">公式サイト(日本語)</a><br /><br />昨日は米国アカデミー賞の授賞式があり、日本の映画が二つ受賞したが、この映画に賞が与えられなかったのは意外だった。しかし、ここ数年名作を送り出し続けているクリント・イーストウッド監督の勢いがまったく衰えていないことを感じさせる映画だった。<br /><br />1920〜30年代のロサンゼルスが舞台の、行政の腐敗と女性蔑視が絡んだショッキングで重い作品だが、いくつかの決着、解決がもたらされるたびに、アンジェリーナ・ジョリー演じる主人公クリスティン・コリンズの複雑な気持ちに共感せずにはいられない。<br /><br />この作品のキーパーソンの一人に、ジョン・マルコヴィッチが演じるギュスターヴ・ブリーグレブという長老派教会の牧師がいる。ロサンゼルス市警察の腐敗を批判するキャンペーンを張っているブリーグレブ牧師は、警察の探し出した子どもは自分の息子ではないとコリンズが訴えていることを伝える新聞記事を見て、コリンズに接触し、協力を提案する。一方で、事件がある決着をみたとき、まだ息子を探すことをあきらめないコリンズに、「息子さんはきっと待っていますよ、私たちもいずれ行く場所で」と語りかける。したたかな活動家と、宗教的な慰撫を与える者との両側面をもつキャラクターだ。<br /><br />この映画は実話にもとづいているが、Presbyterian Church (USA) のサイトに載っている記事、<a href="http://www.pcusa.org/pcnews/2008/08808">Presbyterian pastor portrayed in new Clint Eastwood film</a>によると、ギュスターヴ・ブリーグレヴという牧師は同年代に実在したものの、この事件にかかわったという記録はないそうだ。友人のR.P. Shuler牧師とともに、ロサンゼルスの風紀の乱れを告発したことで有名だったということである。<br /><br />また、牧師がラジオで説教するシーンも何度か出てくるが、Daniel A. Stout (ed.), <span style="font-style:italic;">Encyclopedia of Religion, Communication, and Media</span> (Routledge, 2006) によれば、この時期、ラジオが黄金期であるとともに、数多くのラジオ説教師が活躍しており、ロサンゼルスでは Aime Semple McPherson (1890-1944) という女性が、ラジオを通じて癒しを行った説教師として有名だったそうだ。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-62556394299011083592009-02-22T17:29:00.003+09:002009-03-02T21:37:12.021+09:00寺田喜朗『旧植民地における日系新宗教の変容』<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=kurosan-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4863390041&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><br /><br />著者の寺田喜朗さんより、新刊の『旧植民地における日系新宗教の変容―台湾生長の家のモノグラフ―』(ハーベスト社)をいただいた。<br /><br />寺田さんとは、1995年から2000年まで続いた「<a href="http://www.capnoir.jp/hihyonokai/">近現代宗教研究批評の会</a>」以来のつきあいである。日本の宗教社会学の学説・方法史への透徹した理解と、ライフヒストリー法を中心とする丹念なフィールドワークが持ち味だ。こうして堅実な研究書をまとめられたことに、深い感慨を覚える。<br /><br />通読したらまたコメントしたい。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-788628847126616536.post-24674655748298997322009-02-20T19:01:00.000+09:002009-02-20T19:02:50.078+09:00みさくぼ大好き応援団2月5・6日、浜松市天竜区水窪町で複数のNPOと住民グループが協働して進めている「みさくぼ大好き応援団」という地域づくりの担い手育成事業について、皇學館大学の櫻井治男先生をはじめとする9名で、関係者の方々にインタビューにうかがい、また天竜川沿いの秋葉街道を通って水窪町を訪れてきた。「宗教の社会貢献活動に関する比較文化・社会学的研究」(研究代表者・櫻井義秀北海道大学教授)による調査の一環である。<br /><br />インタビューに快く応じていただいた方々の一人、NPO法人魅惑的倶楽部(エキゾチッククラブ)の鈴木恵子理事長が開いているブログでも、すでに紹介していただいている。<br /><br /><a href="http://yaplog.jp/exotic-club/archive/716">視察・・その2</a><br /><br />私がこの活動を知ったきっかけは、国土交通省の<a href="http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/aratana-kou/index.html">「新たな公」</a>という事業の採択情報からなのだが、興味深かったのは、水窪町の住民の方が切り出した間伐材を、知的障害者授産施設で「竜水護森・木札」という絵馬のような板に加工してもらい、それを浜松市街のいくつかの提携店で販売し、市民に願い事を書いてもらった木札を、年に1回、水窪町の山住神社に奉納する、という一連の流れだ(写真は浜松市街の地ビール店のレジ脇にあったもの)。<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://4.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SZ5_ml8t5rI/AAAAAAAAAC4/M4tkDCwDLHM/s1600-h/mokusatsu.jpg"><img style="float:right; margin:0 0 10px 10px;cursor:pointer; cursor:hand;width: 320px; height: 240px;" src="http://4.bp.blogspot.com/_C1gXUhPLAyk/SZ5_ml8t5rI/AAAAAAAAAC4/M4tkDCwDLHM/s320/mokusatsu.jpg" border="0" alt=""id="BLOGGER_PHOTO_ID_5304817712087557810" /></a><br />環境啓発、地域づくり、障害者福祉の要素がすべてからみあっているのだが、いったいどこからそのような発想が生まれ、どのようにしてそれが実現できたのか、ぜひうかがいたかったのである。<br /><br />同行した櫻井先生や板井正斉さんとのやりとりも刺激的だった。今回うかがった貴重な内容はいずれ何らかの形で報告にまとめたい。黒崎浩行http://www.blogger.com/profile/12269890120478259960noreply@blogger.com0