2007年1月19日金曜日

うなずく

運転免許更新のために警察署に行ったときのこと。

無事故無違反の優良運転者なので、警察署内で30分ほどの講習を受けた。待ち合いスペースの端に、ついたてで囲まれた一角があって、そこにテレビモニターと椅子が並べられている。

そこでビデオを観るだけかと思っていたら、その後に口頭でのレクチャーがあった。内容は、昨年の交通事故件数のランキングや、交通法規の最近の改正点など。その時間に講習を受けていたのは私ともう一人だけで、ただただ、うなずきながら聞くしかなかった。

後で考えてみると、実は同じようなシチュエーションを、いつもは逆の立場で経験しているのだった。授業で、最前列に座っている学生がうなずき返してくれると、私の話をわかってくれたんだな、と安心することが多いのだが、それは微妙に勘違いをしていたのかもしれない。話の内容を理解したとかではなく、ただ話を聞いてますよ、というときの当然の身振りとして、うなずき返しているにすぎなかったのだ。

とはいえ、ただの身振りだからといって馬鹿にはできない。齋藤孝さんがどこかの本で書いていたが、うなずくというのは話し相手に対して信頼と承認を示す一番基本的なコミュニケーションだろう。ときどき、間近で目を見て話していてもジーッと固まっている学生に出くわすことがあるが、あのときの違和感といったらない。うなずくというような、基本的な身体の動きを大事にしたい。

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