オバマ氏の大統領当選が決まった5日から読み始めて、ようやく読み終えた。
分裂や格差が広がるアメリカ合衆国で、共通の理想に向けて社会合意を再形成しようという、オバマ氏の政治的姿勢と政策提言が、多民族・多文化社会の申し子とでもいうべき彼の生い立ちや家族との生活、上院議員になるまでの市民との対話などのエピソードを巧みにからめつつ、説得力をもって記されている。
あくまで政治家による著作なので、こう言うと異論があるかもしれないが、アメリカの宗教事情を知り、民主主義社会のなかでの宗教の役割を展望するうえでも、本書、とくに第5章はタイムリーかつ最良のテキストの一つではないかと思う。もっと客観的に深く知りたい人は、森孝一『宗教からよむ「アメリカ」』