昨日は、東京大学創立130周年記念公開シンポジウム「知の構造化と図書館・博物館・美術館・文書館 − 連携に果たす大学の役割」を聴講しに行った。
「知の構造化」というのは小宮山宏・東大総長の掲げるスローガンで、文系の学問領域ではそれが何を意味し、またそれを進めるために何が必要か、という問いが出発点にあったようだった。3人の発表者、3人のコメンテーターの方々の知見がとても深く、考えさせられた。
デジタル化とインターネットの普及が進むこの時代に、領域横断的な資料へのアクセスやメタデータの標準化が必要なことは十分認識しつつも、資料の扱い方の差異にも目を向ける必要があること。構造化とはむしろ、対象を資料化して研究するというプロセスそのものを自覚的にとらえ直し、根拠にもとづいて組み直していくことであるということ。そのあたりも含めて共有化のプラットフォームや人材育成のプログラムをデザインしていくことが、人文科学の知をこれからも豊かにしていくための鍵なんだ、というふうに理解した。
10日に最終シンポジウムを終えた國學院大學でのプロジェクト、「劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究」でも、結局はそこがキーポイントだったんだということがわかってきた。現時点で公開している学術資料データベースのサイト上では、そのあたりのことが利用者に伝わりにくいので、現在準備中のリニューアル版では改善する予定だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿