映画『精神』公式サイト
想田和弘監督の「観察映画」第2弾、『精神』を観に行った。
この映画が撮影された2005年は、小泉政権のもとで「障害者自立支援法」が成立したころで、映画でもこの法律に対する現場の戸惑いや不満が映し出されている。間近に迫った衆議院選挙で政権交代を狙う民主党は、この法律で定められた認定区分のあり方や定率一割負担の見直しを求めており、今は実にタイムリーな公開時期だと思う。
私たちは多かれ少なかれ生きづらさを抱えて日々を送っていると思うのだが、針が振り切れて具体的な損失が現れてしまうとき、私たちはその人にどう対応していったらいいのか。医療体制はもちろんあるわけだが(その運営の大変さも)、偏見というベールに覆われてもいる。「観察映画」という手法(音楽・テロップがいっさいなく、撮影者・カメラがとらえたものをひたすら観客に提示する)がそのベールをはぎとり、一人の対話者として向き合う勇気のようなものを与えてくれたような気がする。
細かい感想としては、最後のシーン(患者の方が、公営住宅への入居希望について役所に電話をかけて遅くまでクレームをつけ、スクーターに乗って走り去る)にはガツンときた。『精神病とモザイク』(想田和弘著、中央法規)には、試写会でのこのシーンをめぐるジャーナリストの下村健一氏との議論が載っていて、ああやっぱりと思ったのだが、おそらく観る人によってかなり印象や評価が変わると思う。
2009年7月25日土曜日
2009年6月25日木曜日
イランのブログ空間
イラン大統領選挙後の混乱が、インターネットに飛び火している。現職のアフマディネジャド大統領の再選が発表されたが、敗北したムサビ元首相の支援者たちが抗議行動を開始。Facebook、YouTube、Twitterなどが情報交換に盛んに使われた。イラン政府は帯域幅を制限するなど規制強化を行っているようだが、Twitterはイランの時間帯に合わせてメンテナンス時間の変更を行い、GoogleとFacebookが急遽ペルシャ語に対応するなど、反政府の抗議活動を「Web 2.0」系サービスが積極的に支えているように見える。
そんななか、瀧口範子「シリコンバレー通信」混迷のイランにTwitter革命は起こるか? という記事を通じ、ハーヴァード大学バークマンセンターがInteractive Persian blogosphere map というものを公開していることを知る。どのような手法で描画しているのかについての説明もあるが、専門的でよくわからない。ただ、いずれにしても改革派だけでなく保守派、詩歌(?)、サイバーシーア(?)など多様な人びとがブログで発信しているらしいことはうかがえる。
"Twitter Revolution" なるフレーズも一人歩きしているようだが、Gaurav MishraというメディアアナリストはIran’s “Twitter Revolution” — myth or reality? というインタビュー記事で、それは間違いであり、イランで起こっていることをそう呼ぶことで、アフマディネジャドの支援者やムサビの支援者のオフラインのネットワークを過小評価することになると警告している。ただし、世界中の注目をこの危機に向けさせたことの重要性は付け加えている。
Twitterでこんなつぶやきを見つけた。
まったくそのとおりだと思う。
そんななか、瀧口範子「シリコンバレー通信」混迷のイランにTwitter革命は起こるか? という記事を通じ、ハーヴァード大学バークマンセンターがInteractive Persian blogosphere map というものを公開していることを知る。どのような手法で描画しているのかについての説明もあるが、専門的でよくわからない。ただ、いずれにしても改革派だけでなく保守派、詩歌(?)、サイバーシーア(?)など多様な人びとがブログで発信しているらしいことはうかがえる。
"Twitter Revolution" なるフレーズも一人歩きしているようだが、Gaurav MishraというメディアアナリストはIran’s “Twitter Revolution” — myth or reality? というインタビュー記事で、それは間違いであり、イランで起こっていることをそう呼ぶことで、アフマディネジャドの支援者やムサビの支援者のオフラインのネットワークを過小評価することになると警告している。ただし、世界中の注目をこの危機に向けさせたことの重要性は付け加えている。
Twitterでこんなつぶやきを見つけた。
我々は、Twitterを通じてイランの情報をえた。ただ、我々が、関心を寄せるべきなのは、Twitterではなく、イランの現実だと思う。
まったくそのとおりだと思う。
2009年6月16日火曜日
「宗教と社会」学会第17回学術大会
「宗教と社会」学会
第17回学術大会ホームページ
6月6・7日に創価大学で行われた「宗教と社会」学会第17回学術大会に参加した。前回につづき今回も、発表・セッションを聞く側であった。新型インフルエンザの影響が心配されたけれど、とても盛況だった。
1日目の個人発表。今井信治さんの鷲宮神社についての発表は、絵馬掛所の様子からとらえた参拝者側と神社側との関わり方の分析が面白かった。絵馬といえば昨年夏に横浜市歴史博物館が絵馬の展示をやっていたし、戦時期の絵馬を解読した Jeniffer Robertson, "Ema-gined Community: Votive Tablets (ema) and Strategic Ambivalence in Wartime Japan" (Asian Ethnology 67-1 (2008)) [PDF] も興味深く読んだところだったので、なんとなく絵馬の時代がきているような気がする。井上大介さんのルチャ・リブレについての発表を聞いたら、そういえば『映画で学ぶ現代宗教』
に『グラン・マスクの男』(ジャン・レノ主演の、孤児院を運営するカトリック神父が覆面レスラーとして活躍する作品)が入っていない、と思った。
2日目のテーマセッションは、午前・午後ともぜひ参加したい内容が二つ並んだので、大変困った。午後の第1会場での宗教文化教育に関するセッションは、さまざまな学問分野から宗教文化への接点をさぐるというものだったが、とくに科学技術コミュニケーター養成に関する野原佳代子先生の発表が興味深かった。科学技術をめぐる専門家と素人の対話の促進にとって宗教文化はどう位置づけられるかという視点からのもので、東京工業大学での取り組みや、文部科学省科学技術政策研究所による調査の結果なども踏まえられ、とても貴重な提言が含まれていたように思う。科学と宗教の関係と言えば、生物進化論についても対立した(ステルレルニー『ドーキンスVSグールド』
)、リチャード・ドーキンス(『神は妄想である』
)とスティーヴン・ジェイ・グールド(『神と科学は共存できるか?』
)の著作が近年あいついで邦訳されたこともあり(すみません積ん読です)、神話や多文化共生をめぐる問題と並んで、宗教文化を学ぶ現場に直結するビビッドな領域のように思った。
第17回学術大会ホームページ
6月6・7日に創価大学で行われた「宗教と社会」学会第17回学術大会に参加した。前回につづき今回も、発表・セッションを聞く側であった。新型インフルエンザの影響が心配されたけれど、とても盛況だった。
1日目の個人発表。今井信治さんの鷲宮神社についての発表は、絵馬掛所の様子からとらえた参拝者側と神社側との関わり方の分析が面白かった。絵馬といえば昨年夏に横浜市歴史博物館が絵馬の展示をやっていたし、戦時期の絵馬を解読した Jeniffer Robertson, "Ema-gined Community: Votive Tablets (ema) and Strategic Ambivalence in Wartime Japan" (Asian Ethnology 67-1 (2008)) [PDF] も興味深く読んだところだったので、なんとなく絵馬の時代がきているような気がする。井上大介さんのルチャ・リブレについての発表を聞いたら、そういえば『映画で学ぶ現代宗教』
2日目のテーマセッションは、午前・午後ともぜひ参加したい内容が二つ並んだので、大変困った。午後の第1会場での宗教文化教育に関するセッションは、さまざまな学問分野から宗教文化への接点をさぐるというものだったが、とくに科学技術コミュニケーター養成に関する野原佳代子先生の発表が興味深かった。科学技術をめぐる専門家と素人の対話の促進にとって宗教文化はどう位置づけられるかという視点からのもので、東京工業大学での取り組みや、文部科学省科学技術政策研究所による調査の結果なども踏まえられ、とても貴重な提言が含まれていたように思う。科学と宗教の関係と言えば、生物進化論についても対立した(ステルレルニー『ドーキンスVSグールド』
テュービンゲン

Japanologie Tübingen
イアン・リーダー先生、ビルギット・シュテムラーさん、エリカ・バフェッリさんに誘われて、Fritz-Thyssen財団の助成によりドイツのテュービンゲン大学で開かれた Religion 2.0 in Japan: Shifting Patterns of Authority と題するワークショップに参加した。少人数の参加者による3日間の集中討議は、すばらしい体験だった。英語についていくのは大変だったけれど……。
テュービンゲンは町全体に大学施設が散らばっていて、同大学教授のクラウス・アントーニ先生によれば、神学校の町として開けたことから町そのものが大学であるとのこと。ゲーテやヘルダーリン、ヘルマン・ヘッセにまつわる史跡も点在している。学生とおぼしき若者が多い。天気もよく快適だった。
2009年5月14日木曜日
2009年4月8日水曜日
新井大祐・大東敬明・森悟朗『言説・儀礼・参詣―〈場〉と〈いとなみ〉の神道研究』
著者のお一人の森悟朗さんから、新刊の『言説・儀礼・参詣―〈場〉と〈いとなみ〉の神道研究』をいただいた。
神社縁起にみられる中世の神祇信仰を研究している新井さん、寺院儀礼の中の神道的要素について研究している大東さん、江の島をフィールドに宗教と観光について研究している森さんと、対象も方法も異なる研究が一冊に収められているが、序文によると、まさにこの神道研究の多様さを示すことが刊行のねらいであるようだ。
『メディアコンテンツとツーリズム』
メディアコンテンツとツーリズム : 鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性 / 北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編
この3月に卒業したばかりの佐藤善之君から、北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編『CATS叢書 第1号 メディアコンテンツとツーリズム―鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性』をいただいた。
上記リンク先にあるように、北海道大学の機関リポジトリでPDF版が公開されている。佐藤君のほかにも、筑波大学大学院の今井信治さんも寄稿していて、「サブカルチャーを文化資源としたツーリズム」(「巻頭言」より)についての実践的かつ実証的な調査研究が集められているようだ。
この3月に卒業したばかりの佐藤善之君から、北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編『CATS叢書 第1号 メディアコンテンツとツーリズム―鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性』をいただいた。
上記リンク先にあるように、北海道大学の機関リポジトリでPDF版が公開されている。佐藤君のほかにも、筑波大学大学院の今井信治さんも寄稿していて、「サブカルチャーを文化資源としたツーリズム」(「巻頭言」より)についての実践的かつ実証的な調査研究が集められているようだ。
登録:
投稿 (Atom)